大空のむこう


さて、ジジイの家に招かれた俺たち。ジジイの家は何か変な感じ。若い人の家みたいだ。
俺たちはジジイの言われるがままに適当に座ったが、ジジイはお茶すらだしてくれなかった。

「さて、いったい何が聞きたいんだ?」

ジジイはどこからかパイプのようなキセルのようなものを取り出し、口にくわえた。そして、ポワポワと煙をはいた。

「城の手形がほしいんですが、どこにあるかわかりますか?」

そう代表して聞いたのはコウ先生。ジジイはそれを聞き、ピクッと反応したが、またポワポワと煙をはいた。

「あんたら、地上から空の異変を調べに来たものたちか?」

ジジイは相変わらずポワポワと煙を吐いた。そして続けた。

「わしは、その昔城につかえていたことがある。6年前だがな。あの時にも君たちみたいな人たちが来た。確か名前はソラといった」
「ソラ……」

俺は無意識のうちにその名前を呟いていた。
6年前、俺の父さんは“空”に行き、帰ってこなくなった。ソラ、それは父さんの名前だ。父さんは、やっぱり……。

「その人は、行方知れず。その人の仲間と一緒にな」

ジジイはすぐにそう言い、俺はジジイの顔を見た。事情を知っているコウ先生が俺の肩を励ますようにポンと叩いた。
事情を知らないサンたちがお互いに顔を見合わせた。

「スイから聞いたと思うが、跡継ぎも行方知れず。だが、これはわしらが、空に住んでいた地上人のハーフの子とともに地上に下ろされたのだよ。コウ、お前はそれを知っているだろう?」

ジジイはコウ先生を鋭い目でみた。このジジイ、やっぱりコウ先生のことを知ってる。なんか侮れないジジイだな。

「そうですね。そろそろこの子たちのことを話さなければ」
「スクとセス姉さんのことを?」

コウ先生がそういうと、すぐにリンが反応を返した。そして、ジジイは6年前のことについて話し始めた。



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