大空のむこう


「6年前、ここはまだ平和だった。それなりに地上の人とも交流があった。だがな、反乱がおきたんだ。それで、城は戦略され王家のものは牢に閉じ込められた。彼らには、人質や奴隷としての価値もないため、食事も与えられなかった。そこに、ソラという地上人がやってきた。仲間をつれてな。その人たちが王家を助ける手助けをしたのだが……だめだった。何日も食事をしていない王家は餓死寸前だった。せめて、先に王子だけでもと、地上にいるハーフの子と、空と交流がある地上人のもとへ預けられたのだ」

ジジイは話終わると、またポワポワと煙をはいた。
ジジイは俺の父さん以外の名前を言わなかったが、でも、それが誰なのか皆わかっていた。
王子はスクで、ハーフはセスさん。そして、交流がある地上人はコウ先生だ。
そうか、セスさんはハーフだったんだ。スクはずっとセスさんのところにいたから、セスさんになついていて、スクをずっと預かっていたセスさんだからこのことにはすごく真剣なんだ。スクを助けたいから。

「それで、王子の両親は?」

そう問うたのはレンさん。でも、その答えは皆わかっていた。
きっと、ジジイもスイさんもここにいる人が王子とそのハーフというのは知らなかったのだろう。
きっと、リンの言葉で気付いたんだ。そして……レンさんの問いの答えには、答えずジジイはポワポワと煙をはくだけだった。

「君がその王子だろ? 小さい小憎の言葉ですぐ確信したよ」

ジジイはスクを見、スクの帽子をとった。そこには、前にコウ先生が説明してくれた王家の色が広がっていた。

「この空を統べるのは王家の血をもつものしか出来ない。王家の血をもつものしか島を支えられない。スイから手形のことを聞いたのだろう? 手形は1つの島にある。6つにもわかれてもいない。これを知っているのはかつて城に仕えた数人と、わずかな研究者だけだ」
「その中に貴方とスイさんがいるわけですね?」

そう聞いたのはまたレンさん。ジジイは頷いた。

「私の推理によると、手形はここにあり、スイさん経由で来なければ手形のことを聞かれても教えないといった感じですかね? だが、経由だけではなくスイさんから手形の話を聞かされてなければならない。そして、あとは手形を探す理由。そして、あなたからみた人柄ですかね? そして、この推理をした者にしか手形を見せないとかですかね?」

おぉ! レンさん、さすが! やっぱりレンさんは探偵だ! 本物だ! だから、コウ先生はレンさんを連れてきたんだ。
ジジイはにっこり笑って立ち上がり、どこか金庫のようなものから6つの手形を持ってきた。
その手形は予想より小さく、つなげると1つの絵になるものだった。



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