大空のむこう


「でも、レンさん。結局、王家はスク以外はいないってこと? スクは何か知っているのかな?」

俺たちは図書館に来ていた。

「いや、クウ坊。スクは知っていても忘れていると思うよ。クウ坊だって小さい時のこと覚えてないだろ?」

確かに。6年前ってことは、スクはまだ4歳くらい。
俺だって4歳のときはあんまり覚えてないのに、スクが覚えてるはずないか。王家とかってなんだか難しそうだし。

「おーい、レン兄さーん。この本、なんかあやしくない?」

歴史書を探している俺とレンのところに、リンがあまり古そうではない本を持ってやってきた。もちろん、歩いて。

「何だ、結構新しい本じゃないか」
「うん。でも、中身が読めないんだ。レン兄さんなら読めるかと思って持ってきたんだけど」

リンからレンさんが本を受け取り、本を開くと、俺とリンは横から本を覗き込んだ。確かに。わけのわからない文字が書いてある。

「うーん、確かに。あやしい本ではあるが……。そういえば、似たような文字が書いてある本を俺も見つけたよ。ちょっとまってな」

レンさんは、本をリンに渡し、隣の棚から古ぼけた本を持ってきた。

「本当だ。おんなじ文字が書いてある」

俺はレンさんから本を受け取り、ページを進めていった。そして、何ページか進めてみると、どこかで見覚えのあるものが目に入った。

「あれ? これ、どこかで……」

どこだっけ? 最近見たような気がする。

「どうした? これ、見憶えがあるのか? 何だか地図みたいだが」

地図!! そうだ、これは地図だ。レンさんありがとう。そう、これは地図!! これは、サンとセイと一緒にみたやつだ。
それで、コウ先生に地図だって教えてもらったんだ。

「これ、空の地図だよ。浮島は6つあって、真ん中の島に城があるんだって。コウ先生が言ってた。俺たちがいる島はどれなんだろー?」
「島には名前がついているみたいだよ。読めないけど」

確かにリンの言ってた通り、島の下に読めないけど、何か書いてある。島の形もそれぞれ違うみたいだ。

「多分、この2冊は同じ人が書いたものかもしれないな。カウンターの人に何が書いてあるのか聞きに行こう。その前に、これと同じような本はあったか?」

俺たちはレンさんの問いに首を横に振って答えた。そう、見つけてないってことだ。
とにかく、俺たちはその新しい本と古い本を持って、カウンターのお姉さんのところに行った。

「すみません、この本にはなんて書いてあるんですか?」

レンさんが代表してカウンターのお姉さんに聞いた。お姉さんは本の表紙をチラっとみただけで、本のページをめくらなかった。

「申し訳ございません。こちらの本は古代文字で書かれているため、私では読めないのです。あら? でも、おかしいですね。古代文字で書かれていても、ここのところに現代文字で出版社や著者、題名が書いてあるはずなんですが」

お姉さんはそう言い、古代文字でかかれた題名なようなものの下を指差した。

「もしかしたら、誰かの忘れ物かもしれませんね」

俺たちは顔を見合わせた。

「あの、1つ聞きたいんですけど、空の反乱の事。王家しか島を支えられないってことは知っていますか?」

俺は念のために聞いてみた。どんな言葉が返ってくるかな?

「ええ、知ってます。でも、ここだけの話、王家が島を支えられるっていうのは、王家が純粋な天空人だからって言われているんです。この古代文字が読めない人が多いのもそれが理由と言われているのです。私も、地上人の血が入っているんですよ」

お姉さんは丁寧に説明してくれた。俺たちはまた顔を見合わせた。
俺たちはお姉さんに、本の持ち主を知っていますといって、本を外に持ち出すことに成功した。そして、俺たちは図書館を出た。

「何か、俺、解った気がする」

なんとなくだけど、全部じゃないけど。

「よし、あのじいさんのところに行こう」

レンさんがそう言うと、俺たちはレンさんの後について行った。



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