大空のむこう


ジジイは相変わらず外にいた。

「お? お前たち、城に行ったんじゃないのか?」

ジジイは少し驚いているようにも見えた。
だけど、ジジイはやっぱりジジイで相変わらず。

「貴方に真実を聞きにきました。貴方はまだ隠していることがある」

レンさんはジジイの目をまっすぐ見て言った。
ジジイもレンさんを見ている。俺は、レンさんとジジイを見ている。

「………ここじゃ、なんだし中に入ろう」

ジジイは俺たちに背を向け、ジジイの家に向かった。俺たちは、その後について言った。
そして、皆が家の中に入り、玄関が閉められたとき、本題に入った。

「まず、俺の話を聞いて下さい。図書館で古代文字で書かれた本を見つけました。出版社は書かれていません。そのため、図書館の人は誰かの忘れ物と言ったけど、この本は故意にあったものだと俺は考えた。それと、王家の能力を知っているか、ということも聞きました。これについては数人にしか聞いてないのですが、聞いた人全員知っていました。そこで、聞いた人の中の1人がこう言ったんです。王家は純粋な天空人だと。つまり、そうですね……。俺たちは本当のことを知りにきたんです。何故、反乱が起きたのか。王家の行方、王家と一緒にいた地上人、それにスクのこと。貴方は本当のことを言ってないところがある」

レンさんはさっきみたいに、まっすぐにジジイを見ている。
そんなレンさんが何だか少しカッコよく見えた。頼りないことが多いから。
父さんってもしかしたらこんな感じなのかな。サンの父親は随分違っていたけど。

「それは、コウたちも知っているのかね?」

ジジイはポワポワと煙を吐いた。煙は宙を舞い、消えた。

「知りません。これは俺たちが導き出した答えです」

レンさんの言うとおり。コウ先生は地上人だし、知らないこともある。
俺だってレンさんの話を聞くまで、スイさんとジジイの話を疑いもしなかった。今だって解らないことはある。

「……反乱の話は本当だ。だが、君の言う通り王家の能力について知っていて起こした。王家と民の意見が割れてしまったんだ。この空の島は地上からの影響を受けやすい」
「あ! もしかして、それって地上で科学とかが発展して……。海もそのせいで汚れてきているんだ。珊瑚も死んだりしているし」

ジジイの話の途中でリンが割りこんだ。
うん、ジジイが言おうとしていることが解った気がした。



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