大空のむこう


「6年前は、地上と空は色々なものを分け合っていた。空でしかとれないものもあった。だが、地上でよどんだ空気を出せば、それは空にくる。その空気のせいで、空は随分と変わってしまった。翼がなくなったのもそれが原因だ。天魚たちも、それにより方向感覚を失ってしまったのだろう」
「でも、天魚のことはどうして、6年たった今に起こったんですか? だったらもっと早くから……」
「もしかして、天魚を守っていた人たちがいるんじゃないのか? そして、その人たちが死んでしまった、もしくは守れなくなったから天魚は落ちていた。もしくは、落とされたか。地上にいる王子を連れ戻すために……」

俺の疑問に答えるように、レンさんが言った。
でも、ジイさんはポワポワと煙を吐くだけで、俺が求めている答えは言わなかった。

「とにかく、そのことをめぐり、意見が分かれたんだ。地上と手を切るか、どうでかだ。この時からある地上グループが空に滞在していた。その中の1人が翼の事を知りたかったらしく、王家を捕えようとした。そして、あとは話した通り、ソラによって王家がどこかに逃がされた」
「でも、ジイさん。さって、反乱は本当だって。これじゃあ、反乱じゃねーじゃん!」

リンがジイさんにくってかかった。
うん、確かに。これじゃあ、話がおかしい。

「反乱というのは、何も知らない人たちがその時の城を見て言ったことだ。実際、本も出ている。王家が、空を守る王家が、地上と縁を切らないといったために、反乱がおきたとな。だが、それを言ったのは王家ではなく、地上人や反乱を起こしたといわれている奴らだよ」

何だか、複雑な話だ。
反乱というのはある意味本当ので。でも、実は違う。でも、皆反乱と思い込んでいるんだ。

「空は地を憎んでいる。君たちの前にも、何人か来たが城に行ったっきりだ」

俺は思わず、身ぶるいした。そんなことがあったんなら、憎むのは仕方のないことかもしれない。

「あ! ジイさん! “空の果て”って、どこにあるんですか!?」

いけない、いけない。これを聞かないと、俺の目的は果たせない。
俺は何しにここに来たんだ? “空の果て”を見るつけるだめだ。

「空の果て? 明確にはどこにあるとは言えないが、この島よりずーっと先に上にいったところにあるそうじゃ。天空人でも、あまり空の果てに行ったことのあるものはすくなくてな。これ以上のことはわからんのだよ」

ジイさんは苦笑した。だけど、俺はそれだけ聞ければ十分だ。
だって、“空の果て”はあると確信したんだから!

「よーし! 待ってろよ、“空の果て”! 俺が絶対見つけてやるんだから!!」

俺はジイさんの家を出て、さらに広がる大空にむかって、そう思いっきり叫んだ。
決意をこめて、夢をこめて。



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