大空のむこう


あれから、コウ先生たちとの約束の時間がきた。
色々なことを調べたけど、結局あれ以上の情報は手に入らなかったなぁ。
あの古代語で書かれた本は、どうやらジイさんが書いたものらしいってことはわかったけど。
ちなみに、この約束の時間までに、俺は5回くらいはぐれた。うん。いつもより少ない方だ。でも、気をつけないとね。

「あ!コウたち来たぞ!!」

俺たちが舟の前にいると、リンがそう言った。

「本当だ。にしても、まさか3日間もあったのに、思った以上に情報が集まらなかったなぁ」

レンさんはすっかり、やる気をなくしちゃってる。
ジイさんの家を出てからほとんど情報が集まらなかったから。
しかも、2日目は俺が迷子になったせいで、何も出来なかったんだ。だから、少し責任感じてるんだ。
ジイさんの話は凄く悲しい話だと思う。だって、本当は誰も悪くないんだ。
だって、そうだろう? 皆、空のことを思ってしたことだ。
多分だけど、前にジイさんとスイさんが話してくれたことは、皆が思っていること。きっと、あえて矛盾が出るように話していたのかも。
俺が思うに、こうだ。地と手を切るかどうするか、意見が2つにわかれたんだ。
そして、暴動が起きたんだと思う。それが家臣の反乱。
もしかしたら、ジイさんが言っていた翼に興味があった地上人が手引きしたのかもしれない。
でも、それを皆に教えたら地上人が皆悪くなる。俺たちみたいのが空にいても殺されちゃう。
だから、あえて家臣を悪者にしているのかも。

「おい、クウ。何やってるんだ?」

俺が考え込んでいる間、コウ先生たちは出港の準備をしていた。サンが舟の上からこっちを見てる。

「早くしないと置いていくぞー」

セイが、そうサンの隣で笑った。本当に置いていかれないとは思うけど、俺は急いで舟に乗った。
舟はもう出発できそうで、俺ってばずいぶん長い間考え込んでいたみたい。
舟は俺が乗り込むと出発した。今度はもっと上まで行くんだ。

「クウたちは何してたの?」

俺が外を眺めていると、セイが俺の隣に来て言った。どっちかっていうと、俺が聞きたかったなぁ。
セイたちは何してたんだってね。だから、聞き返してやった。

「セイたちは何してたの?」

いつのまにかサンも隣に来ていた。セイとサンは顔を見合わせた。

「色々。コウ先生の知り合いのところにいったりとか」

セイがつまらなさそうに話した。

「俺は図書館にいったりしてたよ」

もちろん、俺が迷子になったのは内緒だけどね。だって、言うの恥ずかしいじゃん。

「そんなことより、城はどんな感じだと思う?」

サンははるかかなたにあるであろう城の姿を思い浮かべながら言った。
そういえば、城の外観とかは何も言ってなかったけど、ラピュタみたいな感じだと思う。
てか、ラピュタって空の城がモデルなんじゃないかなぁ。父さんは城、見たんだよね。一体、どんな感じだったんだろう?
それから、俺とサンとセイは空を眺めていた。城を誰が先に見つけるか競争してたんだ。
俺は必死で探したんだけど、一番に見つけたのはサンだった。
まだ、何かが見えるって感じなんだけど、サンには見えたらしい。
目の悪いセイはコンタクトをしてても見えなくて、俺は帽子の中から愛用の双眼鏡を出し、本当に城かどうが確かめた。
うん、あの感じはサンの言うとおり城だと思う。
風がちょっと強かったから、帽子が飛ばないように押さえた。



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