大空のむこう


「コウ先生!城が、城が見えたよ!!」

俺は嬉しくて思わず、コウ先生に報告しちゃった。コウ先生はにっこり笑った。
だけど、いざ城につくとそんなワクワクした感じではなかった。

「い、一体どうなってるんだぁ!?」

リンがすっとんきょうな声を出した。リンだけじゃない。皆驚いていた。
だって、だって、城の人たちが俺たちに向かって武器を構えてるんだ。

「どうやら、私たちは敵だと思われているみたいね」

セスさんがそう言った。せっかくここまで来たのに、俺たちはどうすればいいんだろう?

「舟をこちらへ停泊し、すぐに降りろ」

俺たちに武器を向けている人の中で、一番偉そうな男の人が言った。
この人だけ、服装も少し違う感じ。なにより、この人だけ、武器を構えていない。
でも、ここで断ったら撃つぞって感じの目をしている。
だから、コウ先生とレンさんはお互い顔を見合わせ、頷いた。そして、彼らのいうことに従った。
まさか、こんなことになるなんて。舟から降りると俺たちは武器をもった人に囲まれた。

「なぜ、地上人がここにいる?」

またさっきの男の人だ。
コウ先生は、あのジイさんから貰った割符を見せた。
そうすると、男の人は武器を降ろすように言い、俺はほっと胸をなでおろした。 だけど、そんな時。運悪く、強い風が吹いた。
俺は帽子を押さえたけど(ゴーグルしてるしね)、スクは間に合わず、正体を隠すためにかぶっていた帽子がどこかへと飛んで行ってしまったんだ。
俺たちは、情けなく、帽子がとんでいくのを見ていただけだった。 男の人たちはスクの髪を見ていた。
スクの髪は染めたはずなのに、水色の髪に戻っていた。
多分、俺たちは同じことを考えていると思う。バレたってね。

「その髪に目は王家の……。まさか、行方知れずとなっていたスク王子か?」

ほら、やっぱりバレた。
逃げた方がいいんじゃないかって思ってるさきに、セスさんがスクを連れて逃げた。
だから、俺たちも後を追った。

「待て! 逃げるな!!」

男の人の声がした。さっきの人と同じ声。
他の人も武器を持って追っかけてきた。

「走れー!!!」

レンさんがそう叫んだ。
連絡でもとったのか、前からも武器を持った人がやってきた。

「やめて! 離して!!」

セスさんが捕まった。そして、もがいていた。
いつのまにか、サンとセイもつかまっていた。
俺は、前から来た人たちをどうにかすり抜けたから平気だったんだけど。
でも、スクに服をひっぱられた。それで、後ろを見ると、皆捕まっていたんだ。

「クウ! スクをつれて逃げなさい!!」

俺がどうしたらいいのかわからずにおたおたしていると、コウ先生がそう叫んだ。
レンさんの方を見た。レンさんはコクンと頷いた。
セスさんの方を見た。セスさんは、俺のことをキッと睨んだ。

「早く!!!」

俺はセスさんの言葉を合図に、スクの手をとり、走り出した。
とにかくダッシュした。もちろん、追っかけてきたけど、俺はとにかくダッシュしたんだ。
「止まれ」という男の人たちの声と、「逃げろ」というサンたちの声がした。
俺は方向音痴だけど、運はいい方なんだ。
今逃げているのは方向とか関係ないから安心して逃げることが出来た。
それに、逃げてる最中に赤い飛行機を見つけたんだ。

「スク! あれに乗ろう!」

飛行機は1人乗りっぽかったけど、どうにか2人で操縦席にのれた。
俺は、ゴーグルをかけ、エンジンをいれた。すぐにエンジン音がした。これなら俺にも動かせそうだ。

「止まれ!! 何をしようとしてる!!」

武器を持った人たちがまた来た。ホントにしつこいな。
しつこすぎて嫌になる。この人たちは空で起こった本当のことを知っているのだろうか?



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