大空のむこう


俺は男の人たちがこっちに来る前に飛行機を空へと飛ばした。

「降りてこい!!」

下で男の人たちが騒いでいたけど、降りずにそのまま上昇した。
この上には“空の果て”があるかもしれないんだ。
誰が降りるかってんだ。
それに、もしかしたら“空の果て”に行けば、色々なことが分かるかもしれない。

「どこにいくの? セスたちを助けないの?」

スクがそう言った。
そう言えば、スクとこうやって話すのは初めてかもしれない。
だから、結構驚いた。

「助けたいけど、あの状態じゃ無理だもん。だから、“空の果て”に行ってみようと思うんだ。もしかしたら、何が解るかもしれない。何かあるかもしれないし」

自分が行きたいだけじゃん? って言われたら嘘じゃない。
だけど、俺は“空の果て”に行きたくてホワイト・ブルーに入ったんだ。
それに、もしかしたら父さんが王家を逃がした場所が“空の果て”かもしれない。
スクは結局黙り込んでしまった。親しいってわけでもないから、ちょっと気まずい。
でも、とにかく俺は飛んだんだ。
“空の果て”を探しながら。少し暑くなってきたけど、スクはセスさんが心配なのか、下をずっと見ていた。
城はもう見えないのに下を見ていた。
もちろん、俺だって皆が心配さ。
空は地を憎んでるなんて聞いちゃったから特にさ。皆、無事だといいんだけど。

俺たちは、飛び続けている間に、いつの間にか雲を抜けた。
雲の上の空は当たり前だけど、晴れ渡っていて、青空だ。
だけど、なぜか解らないけど、太陽が大きく見え、凄く近くにあるような感じがした。こんな感じは初めてだ。

「眩しいっ……」

俺は、太陽の眩しさに思わず、目をつぶりそうになった。
ゴーグルしてるのに、眩しいだなんて。少し信じられなかった。
だけど、さらに上昇するとその眩しさはまし、俺はついに目をつぶってしまったんだ。
しまったと思ったよ。でも、眩しさで目が開けられなかった。
だから、危ないけど目を閉じたまま飛んだんだ。
そのまま飛んでいると、ものすごく眩しくなったかと思うと、急に眩しくなくなった。だから、目を開けてみた。



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