大空のむこう


びっくりした。だって、空を飛んでいたはずなのに、下が海になっているんだ!
スクも驚いていたよ。まさか……?
俺は、海の上に飛行機を止めた。
そして、海に降りた。海は案外浅く、俺の膝くらいまでしかなかった。

「ここは……?」

誰への問いかわからないけど、俺はそう問いた。
スクも飛行機から降りて、あたりをキョロキョロとしている。
こんな場所、俺の記憶にはない。
だから、もしかしたら、ここなのか持って思った。ここしかありえないと思った。

「“空の果て”」

そうだ。ここは、きっと“空の果て”なんだ。

「空の果て……」

スクがそうつぶやくと、小さな波が立っている海をばしゃばしゃと走り始めた。

「スク! どこ行くんだ!?」

俺は急いでスクの後を追った。
不思議と水は冷たくなかった。なんか、服も濡れていない感じだし。
これは本当に海なのだろうか? 俺たちは、空の上に立っているんじゃないのかな?

「待ってよ、スク!! わっ!?」

俺は何かに足をとられ、転んでしまった。この年で転ぶなんて少し恥ずかしい。
サンたちがここにいなくてよかったよ。だって、絶対からかわれそうだもの。
俺は、一体何に足をとられたのか見た。
海の中に、ロープのようなものが落ちていた。どうやら、俺はこれに足をとられたみたい。
でも、こんなものがここにあるってことは、人がいるってことだ。

「おーい、誰かいないのー?」

俺はスクを追いかけながら、人を探した。
だけど、誰の返事も返ってこない。でも、ぜったい誰かがここにいるはずなんだ。
だって、俺もスクもロープなんて持ってきてないもの。

「誰かいませんかー?」

俺は、また呼んだ。そして、やっとスクに追いついた。スクってば、意外と足が速いんだから。
でも、スクもなんとなく人がいることには気づいているみたい。スクはまた、急に走り始めた。

「待って!!」

俺は、また追いかけた。
しばらく、そうやってスクを追いかえていると、空から滝が流れ落ちていた。
スクはその滝の前で止まり、滝を眺めていた。俺も滝の近くに行った。
スクと滝の裏に行ってみると、そこには壊れた飛行機が置いてあった。
うん、さっきのロープより確かな証拠。ここには人がいるんだ。
飛行機の後ろに、何か洞窟のようなものがある。もしかして、あの洞窟に人がいるのかな?
スクも同じことを思っていたのか、洞窟の中を飛行機の隙間から覗いていた。
俺もみた。そんなに深い洞窟ではなさそうだ。それに、暗いけど、何か蠢いている気配がする。
俺とスクは、壊れた飛行機をどかそうとした。まぁ、やっぱりビクともしなかったけど。
でも、俺たちは飛行機のスキマから入れそうな場所を見つけて、そこから入った。
洞窟の中に入ると、さっきまで真っ暗だったけど、青かった。
でも、やっぱり洞窟の中は人の気配がした。やっぱり、ここには人がいるんだ。ここに隠れていたんだ。
スクも人の気配を感じたのか、ゴクンと息をのんだ。



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