大空のむこう


「じゃあ、俺の仕事を手伝ってくれるかい? その仕事が終わり次第君をホワイト・ブルーに連れて行ってあげるよ」

レンさんはにっこり笑った。
笑顔が絶対断らせないよって告げている…。
だって、もしこれを断ってしまったら、俺は一生ホワイト・ブルーにはたどり着けない。
だったら…返事はひとつだけだよね…。

「手伝います! そして、俺をホワイト・ブルーに連れて行ってください!!」

俺がそう言うと、レンさんは今度は普通に笑った。

「じゃあ、仕事の話をしようか」

レンさんはそう言うと、ポケットから一枚の写真を出した。

「誘拐されたのはこの子だよ」

レンさんは、その写真を俺にも見せてくれた。
その写真には無気力で何事にも無関心だよっと言う感じの俺と同い年くらいの男の子が写っていた。

「名前はなんていうんですか?」

俺はその写真を見ながら聞いた。

「確か…サンという名前だったはずだ」

レンさんはうーんと唸りながら言った。
意外と物忘れが激しいのかな?
でも、どうしてこの子はこんなにつまらない顔をしているんだろう?
何がそんなにつまらないんだろう?

「この子、何でこんなにつまらない顔してるんですか?」

俺はレンさんに聞いてみた。
レンさんは首をかしげた。

「さぁ? 金持ちの考える事はよくわからん」

俺はもう一度写真をよく見た。
よく見ると…この写真ブレている。
誰だよ、写真撮った奴。

「誘拐って事は身代金ですか?」

レンさんは写真をしまった。

「実はそれも聞いてないんだよな。ま、でもひとつ言える事は、この仕事を成功させたらがっぽりと仕事料がもらえるってわけだ。なんせ、相手はあのサンシャインに住んでるんだからな」

レンさんは、ニヒヒと変な笑いをした。
少し怖い…。
あーあ。
やっぱり人間って複雑だ…。
俺はホワイト・ブルーにたどり着けるのかな〜……。



 BACK|モドル|>>NEXT