大空のむこう


バスはでっかいお屋敷の前のバス停で止まった。

「金持ちが何だ、コノヤロ――――!!!!」

レンさんが、その家を見た瞬間叫んだ。俺も…叫びたい。
だって…とにかくそのお屋敷は凄いんだ!!
この家の人が俺の家を見たら…きっと小屋なんだろうなー。
でも、土地の広さでは負けない。なんたって、俺ん家は農家だもんね。

「さぁ、行くぞクウ坊」

レンさんが、俺の手を引いた。
どうやらすっきりしたみたい。俺はまだあんまりすっきりしてないけどねー。
俺が来たって記念に落書きでもしとこうかな…。“空の果て”を見つけるクウ参上ってね。
まぁ、そんな冗談はおいといて…。
レンさんが、門のところにあるインターホンを押した。
凄い、高級そうなチャイムの音だった。

『はい、どなたですか?』

すぐにインターホンから声がした。女の人だ。

「息子さんの捜索を頼まれた者です。ご主人にお会いしたい。門を開けてくれ」

レンさんが丁寧に言った。こうゆう事慣れてるのかな?

『わかりました』

女の人がそういい終わると、門がゆっくりと開いた。
金持ちって…!! 何で、こんなに何でも持ってるんだよ!! 広い庭に、大きい家、それに…飛行機だって!!
どーせ、俺ん家は野菜とかしか無いですよーだ。でも、その方が環境には優しいもんね!

「クウ坊? 何やってるんだ? 早く行くよ」

俺はレンさんにひっぱれ、門をくぐった。
ひっぱられた事で俺はちょっとだけ転びそうになった。
お屋敷まではちょっと距離があった。広すぎだよ…俺、絶対迷うって…。
レンさんが居て良かったなぁ〜。

「いらっしゃいませ」

お屋敷の前で、何人かのメイドさんが立っていた。
皆美人だなー。は、俺なにを考えてるんだ!!
にしても、さっきからメイドさんしか見ないけど…ここの主人はメイド好きなのかな?

「だんな様はこちらです」

俺たちはついにお屋敷の中に入った。
なんてゆーか、ここの家の人を思わずひっぱたきたくなる。
どうやったらこんな金持ちになれるんだ!! ずるいっ!!
俺の家何か2部屋くらいしかなにのに、この家は部屋のドアがいっぱいある。
俺の憧れた広くて長い廊下もある。しかも、カーペットまである!!

「だんな様はこちらでございます」

暫く歩いていると、一番大きな扉の前に来てメイドさんが言った。

「だんな様、お客様をお連れしました」

メイドさんが扉に向かってそう言うと、中から「入れ」という太い声がした。
扉はメイドさんが開けてくれた。
だんな様の部屋は…もう、何も言いたくない!!
ふん、金持ちより俺たち農家の方が偉いんだいっ!!



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