大空のむこう


駅は人でにぎわっていた。
近所の人に聞いたところ、このサンシャイン駅の近くには2つの踏み切りがあるらしい。
とりあえず俺たちは、2つめの踏み切りのところに行った。
駅を降りたときにあったやつじゃない方だ。

「ここと、駅のところがそうだよなぁ」

レンさんが、踏み切りを見て呟いた。
この踏み切りは、駅を降りたときに見たやつから少し離れた場所にあった。

「ゴミ捨て場はありませんね」

俺は周りをキョロキョロ見ながら言った。
ゴミを回収してる人でもいればゴミ捨て場の場所がわかるかもしれないのに。
もしかしたら、もう回収してゴミ捨て場がわからないのかもしれない。

「ここは駅のところより人通りが少ないな」

レンさんが言った。確かに人が全然いない。
いるとしたら、買い物袋をさげて歩いているエプロン姿のおばちゃんだけだ。

「おばちゃん! おばちゃん!!」

俺は思い切っておばちゃんに声をかけた。
買い物袋の中からネギが見えている。
おばちゃんは俺の方を見た。

「何?」

おばちゃんは人のよさそうな笑顔で言った。
良かった、いい人っぽい。

「あの、この辺にゴミ捨て場はありませんか?」

俺はおばちゃんの目を見て言った。
人に話しを聞くときは目を見ていわないとねっ!
おばちゃんは暫く考えていた。

「ないよ、この辺にゴミ捨て場は1つもない。でも、駅のとこにもう1つ踏み切りがあっただろ? その近くにゴミ捨て場じゃないのに、大量のゴミが捨ててある屋敷があってね、皆迷惑してるんだ」

おばちゃんの話を聞き、俺とレンさんは顔を見合わせた。
レンさんが頷いた。どうやら考えてることは一緒みたい。

「その話、もう少し詳しく聞けませんか?」

レンさんは、ポケットからメモ用紙とボールペンを取り出した。
おばちゃんは、「いいよ」と言い話し出した。

「私もあんまり詳しくは知らないんだけどね、そのゴミ捨て場じゃない屋敷に捨ててる人を見たっていう人がいるんだ。そうさね、ちょうどあんたくらいの歳の人だったらしい」

おばちゃんは、レンさんのことを見た。
……レンさんと同じくらいの歳ってことは……。

「私が知ってるのはこれくらいさね。さぁ、もういいかい?」

おばちゃんは腕にしている時計を見た。

「あ、ありがとうございます」

レンさんは、メモ用紙に何かを書き終えるとおばちゃんに頭を下げ、丁寧にお礼を言った。
おばちゃんはさっさと行ってしまった。

「レンさん!」

俺はレンさんを見た。

「あぁ、行ってみよう!」

俺たちは走り出した。



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