隣の斉藤君


2010年 01月21日    曇る予定。


今日は、学園祭。
俺は、あんまりイベントとか好きじゃないんだけど、でも、なぜか俺は、クラスの呼び込み係に指名されてしまったんだ。
しかも、斉藤と一緒に。絶対、何か起こるぞ。


「おい、お前、もっと笑えよ」

斉藤は、呼び込みしながら、俺にそう言った。
俺は、普通に笑っていると思っているけど、やっぱりどこか緊張している。

「笑っていると思うが?」

多分、俺の笑顔はひきつっているんだろうなぁ。斉藤の顔を見れば、わかるよ。
廊下を歩いて行く人だって、微妙な顔して、俺のことを見ている。だから、俺はやりたくないって言ったんだ!
と、俺が心の中で悲鳴をあげていると、急に斉藤が、ほっぺたを引っ張ってきやがった。
こいつ、何考えてるんだ?

「にゃに、ふるんだ」

引っ張られてるから、ちゃんとした言葉にならなかった。
なのに、斉藤はさらに引っ張った。しかも、どこか楽しそう。

「やめろってんだ!!」

さすがの俺だって、怒る。あんまりにも、斉藤がしつこいから。

「そんなに怒るなよ。みんなが見てるぞ」

斉藤は、俺が怒ったってなにも気にしない。だけど、斉藤のいうことは本当で、廊下を歩く人が俺のことを見ていた。
あぁ、そうさ。俺はどうしたらいいのか分からなくなって、固まってしまったさ。
俺が固まってると、斉藤がまたほっぺたを引っ張ってきた。

「2−Dの餅を食べると、このよーにほっぺが柔らかくなりまーす」

何か、もう何がなんだか。しかも、見ていた人たちは笑っているし。
いったい、なんだってんだ!

「面白いから、私食べようかしらー」

どこかの女子高生がそう言った。で、ついでに教室に入る際に、俺のほっぺたをぷにぷにした。
びっくりした。そして、恥ずかしくなり、俺はまた固まってしまった。



そして、なぜか、俺たちのクラスはかなりの売上をたたきだしたのである。
それから、俺と斉藤のコンビは、最高にして最強と、伝説となったと、斉藤が言っていたが、冗談じゃない。
そんなのはた迷惑だ。
なんで、俺。こんな奴の友達なんだろ。



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