シャウラ


風は、そのまま森から出て進んだ。だいぶ遠くまで来たな。すっかり村が遠くなっちゃった。

「あーあ。村から随分離れちゃったな。よし、このまま俺の家に行こう」

オリオンはニカっと笑い、俺の返事を聞く前に絨毯を村とは反対の方向へと進めた。何だか腹が減ってきた。




オリオンの絨毯は、田舎から離れ、今や俗に言う都会の上を飛んでいる。
村の近くにある町より、何か凄い。建物がひしめき合っていて、夜だっていうのに人が歩いているし、街灯もあって明るい。
俺、こんな所初めて見た。でも、ここはどこなんだろうなぁ。

「おっと! シャウラ。あれが俺の家だ」

ちょっと郊外の方に来たのかな。オリオンが、一軒の古ぼけた家を指差した。
絨毯は、その家に向かって降りていき、ドアの前でハラリと落ちた。どちらかと言うと、小さい家。
家の中から明かりが漏れて、話し声がする。賑やかな笑い声。

「皆、帰ったぞー」

オリオンはそう言いながらドアを開けた。
そうすると、直ぐに「おかえりー」って声が返ってきて、女の子がびっくりした顔でこっちを見ていた。

「オリオン!? ちょっと、何? 何でそんなびしょびしょなの? 雨何か降ってた? リゲル! 急いでタオル持ってきて!」

女の子がこっちに来てそう言うと、ハリネズミ頭の小さい子がどこかへ行き、バスタオルを二枚持って戻ってきた。
そのバスタオルは俺とオリオンに渡され、小さい子は興味心身で俺のことを見ている。どうしよう。何か緊張する。
オリオンは、髪をほどき、バスタオルを頭から被り、わしゃわしゃと髪を拭いていた。奥に誰かもう一人いるな。

「ったく、とんだ災難だぜ。っと、こっちはシャウラ。俺の友達。一晩泊めてやってくれ」

椅子に座ろうとするオリオン。その際に水滴が落ち、女の子に着替えてから! と怒られた。
何だかそれがやけにおかしくて、笑っていたら貴方もよって俺も怒られ、オリオンの服だろうか。着替えの服を渡された。
そのまま女の子に洗濯機がある所に行かされ、俺たちはそこで着替えた。
着替え終わり、部屋に戻るとさっきの小さい子がキラキラした目でこっちを見ていた。

「ねぇ、オリオン。今度はどんな冒険をしたの?」
「まぁ、まて。シャウラ、これが俺の仲間。奥にいるデカイのがペテルギウス。 女の子がベラトリックス。で、この小さいのがリゲル。あ、そうだ。ペテルギウスにリゲル。このペン見覚えないか?」

オリオンは小さい子……リゲルって言うのか。その子を制し、俺に仲間を紹介してくれた。
その後は直ぐに、あのバックから変なペンを取り出し、ペテルギウスとリゲルに見せた。
いつのまにか、絨毯が干してあった。リゲルは大きな目でそのペンを見て、奥に居たペテルギウスもこっちに来た。



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