4.狂詩曲
いらない…。
何もいらない…。
"君たちはもういらない。消えろ"
いつまでも残る博士の言葉。
殺してはいない。
でも、ボクはまたヒトを傷つけた。
それでも彼らは立ち向かってくる。
「アスカ! もうやめろ!」
女のヒトがまた弓を構えた。
「うるさいわよ。カズ。博士は私たちをボロクズのように捨てた。私はそれが許せないのよ。何度だって立ち上がってみせるわ」
ボクはそのヒトが立つたびに傷つける。
血に染まるボクの体。
ボクの血じゃない。
オネガイダカラモウタタナイデ…。
「いい加減あきらめたらどうだい? 君はマヤには勝てないよ」
博士の声が聞こえる。
そのヒトはついに倒れた。
「アスカ!!」
カズとホシマルがそのヒトの所に駆け寄る。
ナツキがいなくなっている。
「博士! 何故こんな事をするんです!? 俺たちは博士の命令を忠実に守ってきた。何故こんなことをするんですか?」
ホシマルが言った。
博士が笑った。
「邪魔したからだよ。それにさっき言っただろ? 君たちはもういらない。私にはマヤ1人で充分だ。そいつを連れて私の前から消えろ。二度と姿をみせるな」
ホシマルとカズが悔しそうな顔をした。
が、アスカをつれて森の中に消えた。
タスケテ…。
だれかボクを助けて…。このままでは壊れてしまう。
ボクが…ボクでいられなくなる。
いらない…。
何もいらないけど…ダレカボクをヒツヨウトシテ。
ホントウノイミデボクヲヒツヨウトシテ……。
ボクヲ…。
「あのヒトたちはいったの?」
森の中に入った3人はナツキに会った。
アスカはまだ気を失ったままだった。
「ナツキ!! お前…」
「裏切ったとか言わないでよ。オレは初めから君たちや博士の考えには反対だったんだ」
ホシマルの言葉を遮り言った。
「ヤマトが来る。ヒミコと一緒に」
ナツキの声がリンと響いた。
この世界が平和になったらボクはどうなるんだろう?
あのヒトたちみたいにボクも捨てられてしまうのだろうか?
「博士。博士はこの戦いが終わったらどうするんですか?」
ボクは博士に聞いてみた。
「先のことなんて考えていない。お前はただ私の言うとおりにしていればいい」
それが博士の答え。
ステナイデ。
ヒトリハコワイカラ…。
キライニナラナイデ。
イウトオリニスルカラ…。
………タスケテ………。
ヤマト。
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