5.小夜曲


皆でいると楽しいのかな?
でも、皆って誰だろう…。
境界線をこえてしまったら…オレもアイツみたいになるんだろうか?
ねぇ、ヤマト。教えてよ。
オレも大きな夢を見ることができるのかな?
ヒトになることができるのかな?


闇がせまってきていた。

「そっか…。ちと着くのが遅かったな」

ヤマトはオレの話を聞いてそう言った。
気を失っていたアスカが目を覚ましていた。

「にしても…お前、俺の部下殺さないでいてくれてありがとな」

ホシマルが笑った。

「ん。俺、平和主義者だから。それよりお前たちはこれからどうするんだ? ミコトに裏切られたんだろ?」

ヤマトはホシマル、カズ、アスカの順番に3人を見て言った。
3人は顔を見合わせた。

「俺は…自分の好きなように生きる。戦いはもういいや」

ホシマルが苦笑した。

「俺も。むしろ裏切られて良かったよ。正直、博士にはついていけないところもあったからね」

カズも苦笑した。

「私…私は博士を追う。やっぱり許せない」

アスカならそう言うと思った。
こいつ、変なところでマジメな奴だから。
アスカはヤマトを睨んだ。

「でも、あんたたちとは一緒に行かない。私は1人で行く」

もっと肩の力を抜けばいいのにな…。
ヤマトはそれを聞いてヘラリと気の抜けた笑いをした。
やる気があるのか無いのかわからない奴だ。

「それより…ここにヤマトがくるって何でナツキはわかったんだ?」

カズが首を傾げた。
オレは答えなかった。
ヤマトは暫らく空を見ていたが、またヘラリと笑った。

「嗅覚だよ。それに、ここにミコトがいるって事はナツキがテレパシーで教えてくれたんだ。多分…ナツキはアイツの気持ちが痛いくらいわかるんだろうなぁ…」

ヤマトがそう言ってオレの頭をポンポンと叩いた。
結構一緒にいるけどヤマトの行動ってよくわからない。

「テレパシー? じゃあ、ナツキは…」

ホシマルがそう言いかけてオレの方を見た。
ここまで聞けば勘のいいヒトならきっとわかるだろう。

「そうだよ。オレはアイツの前に出来た奴。自我が強すぎて失敗だって言われてたけどね。あ、アイツよりはって事ね。一応欲もあるし…」

3人は信じられないという目でオレの方を見た。
ヤマトがまたヘラリと笑った。

「さて、そろそろ俺たちは行こうかな。ヒミコ――――!!! ヒミコどこだ――――!!!?」

ヤマトがそう叫ぶとどっからともなくヒミコが現れた。

オレはヒトや兵器の心が読める。オレはアイツの気持ちがわかる。
「タスケテ」って言ってた。
「タスケテ」って助けを求めてた。
だから…オレはヤマトと旅を続ける。アイツを助けるために、オレ自身の為に…。
境界線をこえればアイツは戻ってくることができるのかな?
ねぇ、ヤマト。教えてよ。
アイツも大きな夢を見ることができるのかな?





アイツもヒトになる事ができるのかな?



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