01.ボヤキ |
二〇一〇年一月。一月もほとんど終わりに近づいている。 まだ進路の決まらない俺は、不安と焦りと覚える。 |
02.説明会 |
電車から降りて、リクルートスーツ姿の奴がいないか探した。 誰一人としてリクルートスーツ姿の奴はいない。 |
03.ミケ猫 |
猫は、ただそこにいて俺のことを見ていた。 猫なんて珍しくないけど、キレイな猫だと思った。 |
04.ため息 |
家に帰ると、あの猫がまたいた。あのキレイな猫が。 猫になりたいと思いながらため息をついた。 |
05.猫の神 |
朝起きて、異変を感じるまでそんなに時間はかからなかった。 もし、起きた時人間に戻っていたらいいな。 |
06.ケータイ |
朝、俺は人間には戻っていなかった。 近くのアパートに住んでいる女子大生が食パンと牛乳をくれた。 |
07.神と夢 |
タマは、いつもと変わらぬ口調で言い、笑った。 タマは、一体俺に何を伝えたいんだ? |
08.ブタ猫 |
俺は、また家に戻り、車の下にもぐりこんだ。 タマはまたどこかに行ったみたいだ。 |
09.君島家 |
雨が降ってきた。 徐々に雨は激しさを増していった。 |
10.本当の |
あの時の俺は凄くバカだった。 自分から、未来から逃げて。だから、タマに猫にされたんだ。 |
11.未来へ |
俺は猫になりたいだなんて、思わない。 後は、夢に向かって突っ走るだけだ。 |